あんなにも大事にしていた「カセット8(エイト)ムービー」
直列式の単1電池2つを使った豆電球の光に映し出されるので、小さなスクリーンでしか観ることはできませんでしたが、そこには、地元玉島の銭湯の奥にあった映画館で観た、入場料200円で観た「東宝チャンピオンまつり」、同時上映は「帰ってきたウルトラマン 津波怪獣の恐怖」で観た、
三つ首を自在にうねらせて暴れまわる宇宙怪獣キングギドラの雄姿が、たった3分弱の短い時間の中で繰り返し繰り返し、自分の家の自分の部屋で観ることのできる、夢のおもちゃでした。
私にとっての、まさに無限の世界を広げてくれた、愛すべきおもちゃでした。
カセットは、ゴジラシリーズや仮面ライダー、ウルトラマンなど色々あったようですが、一本の価格が高くて付属のキングギドラしか持っていませんでした。
そんなに愛していたおもちゃなのに、高校3年になるまで忘れていて、気が付くと捨てられていて、ほんというと、大事にしていたことも、記憶のかなたに置いたまんまでした。
今、50と5ちゃいの誕生日を前にして思うことは、
「いつも、わが内なる子ども心を大切にしていたい」ということ。
私の愛したおもちゃは、私の胸の中でそう語りかけてくれている気がしています。
映画監督のみちを志し、今もそのみちを歩みゆく私の人生のスクリーンには、あのカタカタと愛らしく動く「カセット8(エイト)ムービー」のキングギドラの金色の雄姿が映し出されたまんまです。
おもちゃの命は、こうして受け継がれて遺されていくんだな