これからの星

宮澤賢治先生の『銀河鉄道の夜』をもとに

限りある命と

若者への夢とロマンを描いた漫画

『銀河鉄道999』

故・松本零士先生が遺された

永遠の名作です

 

テレビでアニメ化されたのは

昭和53年(1978年)秋のこと

昭和56年(1981年)まで

全114話が放送され、サブタイトルは

それぞれ999(スリーナイン)が

停車する駅(星)にちなんで付けられていました

 

999(スリーナイン)が放送された当時は

思春期真っただ中の

多感な14歳

今も宇宙やロマンや鉄道に惹かれるのは

どっぷりと影響を受けた

〝松本零士ワールド〟からの

贈り物です

 

1979年の夏に公開された

劇場版『銀河鉄道999』の感動が

あまりにも大きかったので

正直なところテレビ版のほうの印象が

薄くなってしまっていたのですが

最近になって衛星放送スカパーの

アニメチャンネル「キッズステーション」で

再放送が始まっていたので

記憶をたどりながら見返しています

 

今日という日に〝停車した駅〟は

第49話『これからの星』

現実に、心の荒むような出来事のあった日に

年を重ねた〝今という時〟に

114話もあるお話の中から出会えた

たった1話の〝心が洗われる〟物語でした

 

銀河超特急999号が停車した『これからの星』は

まるで地球の中の日本の片隅にある

下町のようなまちでした

主人公〝星野鉄郎〟と〝メーテル〟は

「銀河鉄道指定大ホテル」と看板の掲げられた

ぼろぼろの下宿のような宿に泊まるのですが

その夜、竜巻のような大風に襲われて

宿は跡形もなく壊され、

衣服もトランクも

大切なスリーナインのパス

(それがないと乗車ができません)

も飛ばされ、失くしてしまうのでした

 

困っている鉄郎たちに

『これからの星』に暮らす人たちは

とても親切にするのですが

「こんなに親切にするのは何か変だ、

誰かがパスを盗んだんだ」と

鉄郎は逆に疑いはじめます

一番に疑いをかけたのは宿屋の主人でした

 

スリーナインが出発する20分前

ふたりが、あきらめかけていたその時

パスと衣服とトランクを届けてくれたのは

宿屋のご主人と奥さまでした

 

鉄郎が「どうしてパスを使って999に

乗ろうと思わなかったんだい?」と聞くと

宿屋の主人は、胸を張って答えたのでした

 

「働けば、いつか買えるもんなぁ

ひとの持っているモノで、

わしらの手に入らんモノはない!」

 

無事に999号に乗りこめた後で

メーテルは、鉄郎に話しかけました

 

「ここは〝これからの星〟

自分たちの未来を信じているひとは

人のモノをうらやましく思うことはないのよ」

 

物語のラストを締めくくるのは

名声優〝高木均〟さん

(代表作:ムーミンパパ、となりのトトロ)の

ナレーションです

 

「宇宙を旅していると〝これからの星〟が

無数にあることがわかる

この宇宙には〝これからだ!〟と

未来を信じる若者が大勢暮らしているのだ

と、思うと

鉄郎は胸の血が燃えるのを感じた

そう思って見る星々のきらめきは

とても、まぶしかった」

 

〝これからの星〟は

若者だけの星ではありませんでした

未来への希望は

疑うことを知らない

純粋な気持ちのある限り

だれの心にも宿っている、と

 

それは

いくつになっても

変わることはない

そう、思いを新たに

させていただきました

 

今日という日に

書き残したかった

物語です

2023年11月07日|日日のこと:daiary